インターネットが無くなるとき [Lingua furanca.]

広い草原にポツンとある小さな家、これがぼくの家だ。
今、ぼくは家の隣木にかけたハンモックの上で昔の日記を読んでいる。
今日も2つの月が輝いている。1つは黄色く、もう1つは青白く煌々とした光を降ろしている。

ぼくには祖父がいた。200歳を超えても元気で、こうして月が輝く夜に昔話を聞かせてくれたものだ。
中でもインターネットという大きな電子機器を用いたコミュニケーションの話が面白かった。
当時の日本には1億人以上が住んでいて、東京という都会は人で溢れていたそうだ。
そして、多くの人がインターネットを通して日々の愚痴をこぼしたり、未来を語ったりしていたのだという。
ぼくには想像のつかない賑やかな世界。それが祖父の住んでいた世界だった。
当時の祖父は、毎晩仕事が終わるとチャットという文字を使った会話を大勢で楽しんでいたそうだ。
全く異なる地域で生活している人たちが同じ時間に同じ場所に集まって一緒に話す...なんて素敵なことなんだろう。

でもそんな夢のような日々は10年も続かなかった。それは突然のことだった。
祖父はいつものようにパソコンの電源を入れ、いつものようにインターネットにつなごうとした。
けれども何時間経っても回線が繋がらず、祖父は電源をつけたまま眠ってしまった。
数時間が経過して翌朝になり、目が覚めても回線はつながっておらず、仕方なくテレビの電源を入れた祖父は絶句した。
そこに映し出されたのは普段の番組ではなく、大きな赤文字で「開戦」というテロップが入った緊急番組だったのだ。
迷彩柄の軍服を着た人たちが街の中をせわしなく走る様子や、遠くで上がっている黒煙などが映し出されていた。
慌てて祖父は会社に電話をかけたが電話の回線そのものが切断されているようで全く通じない。
寝巻き姿のまま外に駆け出してみると、そこには祖父のように混乱している近所の住人たちがいた。
彼らも事情が理解できていないようで、どうすればいいのか分からずただ怯えていた。
一旦落ち着こうと祖父が家に戻ろうとしたその時、思わず座り込んでしまうほどの強い地震が起こった。

・・・

「夕飯よー」母さんが小窓を開けてぼくを呼んでいる。今晩は温かいシチューがぼくを待っているはずだ。
この続きはまたにしよう。



前にね、こんな夢を見たんだ。
ぼくと同じぐらいの背丈の名前も知らない誰かが、数十メートルぐらい離れた場所から手招きをしているんだ。
口元を見ると何かを叫んでいるようにも見えるけれど強風のせいもあって何も聞こえない。
ぼくは精一杯力を込めて「なに?」と大声で返事をしてみたけれど、向こうは手招きをしたままニコニコとしている。
どうやらぼくに用事があるらしいことぐらいは分かったから、仕方なく走ってみたんだ。
ところが走っても走っても、向こうとの距離が全然縮まらない。向こうは動かず手招きをしているだけなのに。
訳が分からなくなって思いっきり走ったけれど変わらなかった。
そうこうしているうちに、走り慣れていないぼくは転びそうになった。そこで目が覚めたんだ。

同じ夢は夢でもこんな夢もある。ぼくの将来の夢の話さ。
ぼくは科学の勉強を一生懸命してタイムマシンを設計しようと思うんだ。
そして、祖父がいた頃の時代に戻って、インターネットが消滅しないように時空を書き換えるんだ。
たとえ、そのことでぼく自身が消滅することになっても、ぼくは悔やまない。

それじゃ、夕飯に行ってくるよ。またね。

この記事のURL | 2007.10.01(Mon)23:00 | 未分類 | コメント:0 | トラックバック:0 | この記事を編集する | 


 
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武蔵小杉(川崎市)在住の大学生
1985年2月27日生まれ

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